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「何言ってんの。アンタ本当に母親か!?夏樹が大事じゃねえのかよ」
ゾッとするほど冷徹な目で、母を睨む冬樹に怯んだのか、母が後退りしていく
「大事よ。でも、相手は神様だから、差し出さないとこの町が滅びてしまうの。行ってくれるわね」
神様?
この町が滅びるって何?
僕だけが、何も知らないんだ
「何が神様だ。ただの爺いどもだろう」
「彼らは神様よ。高橋は貢ぎ物って決まって、必ず夏樹のような子が生まれるの」
「貢ぎ物じゃねえ、商品だろう!閉じ込められて町の男に弄ばれるんだぞ」
「神様に拒絶された子はそうなるわ。でも、夏樹は認めて貰えるわよ」
聞きたくない
あんなに仲が良かったのに
僕が混ざると、短気になる。家族が崩れて壊れてしまう
「この何百年の間、認められたのは存在しねえ!奴隷扱いじゃねえか」
「奴隷扱いじゃない、儀式で必要なのよ。それも5年間だけ!夏樹は3年間だけで良いの。夏樹、行ってくれるでしょう?」
「行く必要はねえ!春兄がアイツらに金を納めりゃ黙ってるんだ」
お願いだから、言い争わないで
「もう止めてッ、僕行くから、行くから家族で仲良くして」
行くからお願い、仲良くして下さい
「では、貢ぎ物は戴いて行きます」
え・・・・・・?
いつの間にか、黒服の男達が部屋に入ってきて
「夏樹に触るな!!」
暴れる冬樹を乱暴に取り押さえてる
「止めてッ、冬樹に怪我させないで」
「黙って下さい。少し眠って頂きますよ」
冬樹!冬樹の将来を奪わないで
冬樹に怪我をさせないで
「大丈夫です。貢ぎ物様が抵抗しなければ高橋家は、神が守りますので」
意識が遠退いていく。抵抗しない、しないから
冬樹も春樹兄さんも、両親も、家族を守って下さい
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