Ⅶ.幸福-knight-

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ずっとずっと、何百回も夢を見た。 嘘だと分かっていて止められない夢を。 夢だと分かっていて触れてしまう夢を。 「……生きてる、よな」 手を握ったり開いたりしても、その感触がある。 夢より自由に身体が動く。 ほら、やっぱり現実……。 「……っ」 振り向いてくれるなんて、思いもしなかった。 いや、嘘だ。 夢は見続けた。 きっとあり得ないと、何万回も言い聞かせて自分を抑制していただけだ。 「やっぱ、好きになった方の負け、だよな……」 可愛い。 会いたい。 きっと生涯あの人に振り回されると思うけど、振り回されていたいと思う。 都合の良い『虜』でいいと思う。 それでも、ただ、こっちに落ちてきてくれただけで。 俺は朔が部屋に入ってくるまで、そこでしゃがみ続けて、ニヤけた顔と熱い気持ちを抑え続けた。
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