3 追撃-knight-

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「おかえりー!快」 「久しぶりだな」 9月1日。 避暑から帰ってきた俺を迎えてくれたのは、両親と、それから律と棗だった。 あれから時間は長く過ぎた。 一か月は思った以上に長くて、冷静になるには十分だった。 気持ちも離れれば、ほんの少しでも落ち着かせることができた。 「お久しぶりです」 ペコリ、と頭を下げると棗がキョトン、とした顔になる。 俺のその横で朔も同様に 「こんちはー」 と言って、頭を小さく下げた。 その様子を見た棗が、あぁ、と理解したかのように頷いて苦笑した。 「別にいいんじゃない?快。 朔ちゃんくらい。 『学校』のうちに入らないし、敬語とっても。 ねぇりっちゃん?」 「俺はいーよ」 二人ともニコニコ笑っている。 それを見た朔が俺の隣で苦笑した。 「いや、ダメですよ。先輩方。 後輩はどこでも敬語を使うべきだと思います」 「…えぇー? 朔ちゃん固いー」 「礼儀ですよー、礼儀―」 ハハ、と朔が笑う。 棗はいじけたように口を尖らせた。 「ダメー! 快が敬語とかつまんないし、ね?快」
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