3 追撃-knight-

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あの日、キスをした日。 その日できた手の甲のキズは一か月たった今、もう消えた。 キズは消えても、過去は消えない。 消すことはできない。 あの時、キスをしたことは、日に日に重くなっていった。 冷静になればなるほど、自分の上にのしかかってきた。 これは生涯、俺が抱えよう。 そして、この、どうやっても消えることのない感情も。 現実は変わらない。 あの日キスしたことも。 それで逃げたことも。 会いたくて、会いたくて、死にそうだったことも。 今も、こんなに愛おしいことも。 だったら受け入れるしかないんだ。 受け入れて、握りつぶすしかない。 見えないように、隠すんだ。 俺と棗の幸せは決して交わることはない。 だったら俺が幸せを捨てればいいんだ。 それが、俺の罪滅ぼし。 ――それが、俺の恋愛なんだ。
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