4.直感-prince-

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恋は育むものだと、昔なにかの恋愛小説で読んだ。 なるほど、意味は少し分かる。 よく好きじゃない女の子の好意を受け取って、付き合う男がいるけれど、それが悪いことではないんだと最近知った。 人に好かれている。 それだけで自分もひどくその人を好きになる。 本当にあるんだ、そういうことは。 懐く子犬を可愛がるように、俺は確かに、春よりも夏、夏よりも今、棗を愛おしく思うようになっている。 だから、だ。きっと。 こんな気持ちになるのは。 頭の中に何度も何度も反芻してるのは――。 「りっちゃん! この後、りっちゃんの家行ってもいい?」 「ダメだ、この後塾って言っただろ? だから快の誕生日切り上げてきたんだから」 快の誕生日パーティが終わって、アパートを出ると、棗が俺の腕にしがみついてきた。 じゃれついている犬みたいで、振りほどけない。 でも、この後塾があるのは事実で、俺はやんわりとその腕を外しながら言う。 「二週間後の日曜はどう? それだったら勉強会、できるけど」 「えぇー、勉強会? りっちゃんと遊びたいのに」 「こーら、受験生が何言ってんだ」 ぐしゃぐしゃと髪の毛をなでると、棗が「やだー」と言ってクスクス笑う。
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