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三つ目のボタンを外し、さらに下へとキスを落とした時だった。
ぐっと髪の毛を掴まれて頭に痛みが走る。
「り、ちゃ、ダメ…っ!」
「……ちょっとだけでも?」
「ダメ!」
「ちょっとやらしいことするだけ」
「ダメだってば…っ!」
「……。
…了解」
髪をぐいぐいと引っ張られて、さすがに酔っていた気持ちも痛みで少し和らいだ。
俺が棗を解放すると、棗がガバっとベッドから起き上がる。
真っ赤な顔で、でも俺を睨む顔はやっぱりかわいくて、もう一回押し倒してやろうか、という悪戯心も湧いてくるけど、……多分ダメだ。
というか、頭の中で支配された姉貴の言葉がよみがえる。
『男よりも優先すべきは女なんだからね!』
「……」
別に同意なくして、襲うなんてこと思ってるわけじゃないけれど。
棗をこの雰囲気に、俺の衝動に、流せたらいいのにな、と思うのが男心。
「さ、勉強するよ!りっちゃん」
真っ赤な顔で棗がパンパンと雰囲気を壊すかのように手を叩く。
俺は、そんな棗の行為まで可愛く見えて、今から勉強する気にはあまりなれない。
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