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「お前ら、夏休み中問題起こしたりすんじゃねーぞー。
くれぐれも受験勉強に勤しむことを忘れるなー。
じゃ、解散―」
担任の一言で、教室中が、わっとうるさくなる。
明日から夏休みが始まる。
担任は面倒なことが嫌いなタイプのため、HRは結構あっさりと終わりをつげた。
俺の席に真っ先に来た一宮達樹(いちみや たつき)が、ガタンと派手な音を立てて俺の机に腰かけた。
「律、夏休みだな」
「……そうだな」
「おまえ、あの美人の彼女とヤるわけ?」
「……は?」
仮にも俺の机だということを忘れたのか、俺の机に立膝をついて達樹がニヤニヤと笑っている。
ふてぶてしい態度の達樹に俺はため息をつくと、パシ、とその立膝をついた足を叩いた。
「おまえ、立膝つくなよ。
これ、俺の机」
「小せぇこと気にすんなよ。
それよりさ、お前どうなの?
花城棗とヤんの?」
「…ほんと、下品だよね。おまえ」
「うっせーなー。
どんな言葉選んでも一緒だろ」
「一緒じゃないわよ」
怒ったような声が後ろから聞こえて振り返ると、後ろの席の佐野(さの)さんが、腰に手を当てて呆れたように達樹を睨んだ。
「少なくてもさ、達樹は場所を選びなさいよ。
私が後ろにいんのよ?」
「都(みやこ)は俺の中で女とカウントされてねぇ」
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