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「張り倒すわよ、アンタ」
「そんな細い腕じゃ、なんもできねぇよ」
俺の机の上と、後ろの席でにらみ合いが始まる。
俺は小さくため息をつくと、
「達樹が悪い」
とキッパリと告げた。
それを聞いた達樹があからさまに嫌な顔をする。
そして佐野さんは満面の笑みを浮かべた。
「ほーら、みなさい!」
「ハ、こいつは常に女の味方だからだろ。
あてにならねぇよ」
「……別にそんなつもりはないけど。
とりあえず、足、おろせ」
「…って!」
バシッと強く足を叩くと、恨めし気に達樹がしぶしぶ足を下ろす。
でも俺の机に座っているのは変わらなかった。
もはや、これはどんなに否定しても無駄だとしっているので、ここで俺も譲歩する。
「で?どうなの結局。
ヤった?」
「そういうの言わない主義」
「つっまんねぇ男だな!
友人に美人の彼女ができても、なんの面白みもねぇ!!」
共有もできねぇよ!と嘆く達樹とは反対に、佐野さんはうんうん、とうなずいていた。
「律くんが正解!
達樹と付き合う彼女は可哀そうね」
「大丈夫だ、お前はねぇ」
「あっそ!
別にいいけどね」
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