4.直感-prince-

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佐野さんがふてくされたような声で、投げやりに言うと俺の方を向き直りにっこりと笑った。 「律君、彼女さんとうまく行ってるんだってね?」 「うん、まぁ。普通に」 「よかったね。 私、実は律君に彼女ができる前までは、実はホモなのかと思ってたから」 「……え」 「はぁっ!?」 俺より大げさに反応した達樹が、ブハと吹き出す。 そしてゲラゲラと笑いだした。 「律がホモ!傑作!!」 「……達樹」 「いや、だって、すごい女の子に優しいのに、誰の告白も受けないじゃん。 しかも好きな人いるようにはとても見えなかったし。 でもよかったー違くて。 うちの学校の王子様ホモとか笑えないからね」 「いや、笑えるだろ!! 傑作!!ハハハハハハハ!!」 達樹は爆笑しているが、確かに聞いた今でも笑えない。 俺そんなことになってたのか。 何度目か分からないため息をつくと、涙を拭きながら、達樹が口を開いた。 「でも、俺も律に好きな人がいるとは思ってなかったぜ? まぁ、でも好きじゃなくたって、あれだけ可愛い幼馴染から告白されたら付き合うわな。 美味しいし」 「美味しいって…、何がよ」 俺の代わりに、佐野さんが口を開く。 すると、何を聞いていると言わんばかりの顔で達樹が大げさに片手をあげた。 「ハ! そりゃ、親に何の警戒もされず家に上がり込めるからだろ! いくらでもヤれる!」 「これだから達樹は!」 「俺だけじゃねぇよ! 俺は素直なだけで、男なんてみんなそうだろ! 彼女なんてそのためにいる!」 「あんた恋したことないだろ!」
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