4.直感-prince-

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ピロロン、と鳴った携帯でハ、と我に返った。 しんと静かな図書館で何人かが振り向く。 たまたま近くを通りかかった図書館員が、 「携帯はマナーモードでお願いします」 と小声でささやいてきたので、俺は 「すみません」 と頷き、携帯をポケットから出した。 せっかく出したので、携帯を見る。 すると画面に表示されていたのは、棗のお母さんからのメールだった。 『棗と連絡が取れないから、多分りっちゃんのとこにいると思って連絡しました。 エアコン直ったから、戻っておいで、と伝えてください。 迷惑かけてごめんね』 「……?」 なんのことだ? 聞いたこともない話で、俺がそれに対して質問すると返事はすぐ帰ってきた。 『りっちゃんのとこに行かなかったのね、ごめんなさい。 うち、一時間前くらいにエアコン壊れちゃって、りっちゃんのおうちに避難しなさい、って棗にいったんだけど…。 もしかしたら快くんのとこかもしれないわね。 快くんに連絡してみるわ』 快の家、という言葉が気になった。 棗のお母さんの予想はほとんど確実にビンゴだろう。 棗が俺の家以外で避難するとしたら、きっと快のところに行く。 俺は返信をタッチすると、慌ててメールを返した。
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