4.直感-prince-

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寝ている棗にキスをしたいと思ったことが、俺にはあっただろうか。 それも、髪に、なんて。 だったら思いつくことは一つだけ。 ――快。 お前、棗が好きだったのか。 棗に、恋をしているのか。 それでも、俺の傍にいてくれて、ずっと笑っていてくれたのか。 あんなに、あんなに苦しそうな気持ちを抱えながらずっと…… 「バカか…!俺は…!」 棗に協力していたんだから、快もきっと俺たちが付き合うことを望んでいるんだろう、なんてどうして思った。 少し考えれば分かる。 快なら、棗に頼まれれば断らないだろう。 棗の幸せを優先して協力したんだ。 自分なんておいて、棗のために。 それでも、それでも快はきっと自分の感情と戦って、その挙句にキスをしていたはずだ。 現に棗は俺と付き合ってから快の家にはいかなくなった。 快にダメだと言われたらしい。 それを破ったのは棗だ。 ずっと、快は俺と棗のために我慢していた。 それをさせたのは…… 「……俺だ」 膝を抱えてその場で頭を膝に押し付ける。 あの日の告白の決断をした己のことだけを思い出して悔やんだ。
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