1.準備ーknightー

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やっと迎えた4月のあたたかな日差し。 ベッドの上に寝転がって漫画を読んでいると、ドタバタと階段を上りあがる音が聞こえて、ガバっと起き上がった。 それとほとんど同時に扉が開く。 「快っ!!」 「……なん」 「ちょ、どいて!邪魔! ちょっと窓借りるから!」 「……はっ?」 嵐のようにやってきたその人が、俺を押し分けてベッドに上り、ベッドの横についている窓から外を眺める。 食い入るように窓の外を見つめる彼女の背中を見て、俺は小さくため息をついた。 この必死さは、いつもと同じパターンだ。 「……また、(りつ)が告白されてんのか…」 「そう、そうなのっ! 頭なでろ、頭なでろ! ……あ、いやいや、人の不幸は望んじゃだめなんだ…けど…」 人の不幸は望んでもいいから、まず警戒心を持ってほしい。 俺はこっそりとベッドの上から降りてカーペットに座る。 そこからまた棗の後ろ姿を見ようとして、――視線をそらした。 ダメだ。あの人。 ベッドの上で膝たちして窓からのぞいているせいで、スカートから覗くふとももがひどく無防備だ。 同じ人間かと思うほど白くて、見るだけで分かる柔らかそうなそれ。 それが自分のベッドに上っていれば、嫌でも変な気分になる。 ダメだ、理性、理性……。 「うぅーー、でもお願いします。 りっちゃんがあの子を好きになりませんように…!」 棗が誰に願っているんだか、一人でぶつぶつと呪文のように唱えている。 そのことが、少し俺を冷静にさせた。
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