2.告白-prince-

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『快』という男に初めて会った時、なんてカッコつけている奴なのだろうと思った。 すげぇ綺麗な顔して、でも誰にも媚びないトラのような男だった。 口数は少ない。 不愛想で、笑いもしない。 俺とは真逆で、それはきっとカッコつけた男だからだ、と本気で思っていた。 でも関われば関わるほど、それは素で、そして素でカッコイイ男なんだと思った。 黙っていて、確かに表には出ない。 出ないから、気付かれないけれど、いつも人を気遣い、庇い、守りながら生きている。 だけど、俺の姉は容赦がなかった。 『快って、すごい不愛想ね。 せっかく綺麗な顔してるのに、無駄遣い! あんたは、あれじゃダメだからね。 常に女をたてて、私たちを優先させるのよ。 男は、そうじゃなきゃ男じゃないんだから』 まるで洗脳だった。 母も、姉もうちは気が強い。 父親も、きっと最初はすげぇ美人な母親を好きになったのだろうが、性格のキツさ故に、家を出て行ってしまった。 それから、俺はただ一人、この家での男となった。 うちで女とうまくやっていくには、俺には術がなかった。 そして、その術は、骨の髄まで俺を染めて、今じゃこんな有様だ。 女は複雑だ、とか男は言うけれど、染み付いてしまえば、そうでもない。 知り尽くしてしまえば、手に取るようにわかる。 そして思った以上に単純なのだ。 上辺だけの姿に絆される。
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