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どんなに無防備だって。
いや、無防備だからこそ、俺を好きじゃないという証拠なのだ。
そう思えば気持ちはいくらか冷えていく。
俺は棗の方に視線をやらないよう細心の注意を払いながら棗に声をかけた。
「律は今回も断るだろ。
いつもそうじゃん」
「うー、そうだけど!
一回でもあったら大問題なんだよ。
大問題なんてもんじゃないよ!」
「平気だろ、そんな気にしなくたって…」
「いやいや、今回の子、かわいい子なんだよ~!
……あ、頭なでた!
よかったぁーー」
律が女の子の頭をなでる時。
それは告白を断る時にする行動らしい。
それを昔本人から聞いたらしい棗は、律が告白されるたびに、頭をなでることを拝んでいた。
毎回、毎回。
週に一回以上、このイベントは行われているんじゃないだろうか。
とりあえず落ち着いたらしい棗は、はーっと気が抜けたように俺のベッドにごろんと横になる。
やっと拷問から開放されると思っていた俺は思わず声をあげた。
「おい、俺のベッドに寝んなよ!
気持ち悪い!」
「ちょ、気持ち悪いはないでしょ!気持ち悪いは!」
むっとしたように棗がベッドから起き上がる。
……あぁ、本当に助かった。
スカートめくれてんだよ、阿呆。
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