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「……頑張ります」 「どっちを?泣けるようになること?それとも演技で見せられるように?」 「演――――」 「俺さ、何人も役者見てきたけど、この短期間で飛躍的に演技力を向上させようなんて桃ちゃんには無理だ」 「……」 「とりあえずは、山程ある下らない課題を一つずつでも消化してかないと。だからさ…………」 言ってることは辛辣なくせに、どうしてこの人はこんなにも晴れやかな笑顔を見せるのだろう。 「泣けよ」 私は――――。 「偉そうに理由付けて、泣けないことから逃げないでさ」 泣けないんじゃない。 …………私は、泣きたくないんだ。 .
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