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……クラクラする。
正直に話せば私の全てを否定されそうで。
ちんけなきっかけと、表現者としての目標を持たない人間が上手くなれる訳がない、と。
「……俺には桃が何を躊躇っているのか解らない。解るのはその躊躇いが役者として足枷にしかならないってことだけだ」
「アオさんに、私の気持ちは解りませんよ!」
……しまった。
可愛げない口調は、防衛本能の現れ。
アオさんは私を気遣って手を差し伸べてくれているのに、これじゃまた彼を怒らせてしまう。
解っているのに、素直に謝ることが出来なくて、次に続くアオさんの言葉を身構えるけど。
アオさんは小さく溜め息を吐いただけだった。
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