桜子の歪んだ恋(2)

16/40
前へ
/40ページ
次へ
私は頭の中で、 新しい自分像をつくり出した。 私はどうしても、 森野隆志の関心を 自分に引きつけたかった。 「私は子どもの頃から、 何不自由のない生活を してきた半面、 普通の家庭に憧れていたんです。 お父さんは、私が欲しいものを 何でも買ってくれたけれども、 いつも忙しくて、 家にはいませんでした。 だから私は誕生日の日に、 お父さんに言ったんです。 私は高価なプレゼントなんて いらないから、 お父さんにいつも家に いて欲しいって……」 私はいつもサイト内で しているように ウソで固めた自分を 必死に演じていた。 私は隆志といるときだけでも、 香川桜子の呪縛から 逃れたかった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加