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時は漢――景帝の時代。若き青年が居た。司馬相如という名の青年。彼は、都にて宮仕えをしていたが、宮仕えが性に合わず、辞めて故郷に帰った。
故郷には、両親が帰りを待っている。そう思い帰宅してみれば両親は既に亡く……家は荒れ放題で、あばら家同然だった。
「なんと、私が都にいる間にこのように荒れ果てていたとは――」
絶句して、暫し呆然と佇む。しかし、呆然としていても始まらない。差し当たり、今夜から何処かへ身の置き場を考えねばならなかった。
屋根とかろうじて壁があるだけの家。
雨露がしのげても、食事さえままならない。貧しい家柄とて、物乞いの真似事は出来ぬ――。となれば、友を頼む以外道はなかった。
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