乗り続ける生涯の道

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鄭旦と西施。二人には劣るが更に美しい娘を数人が、洗練された会話。優雅な仕草。溢れ出る知性。瑞々しい肢体。どれをとっても全員が全員、遜色なく淑女に相応しい娘になった。後は元々持つ容姿の好みくらいなものだ。 暫くぶりに西施を含む美姫達を目にした范蠡は、その仕上がりに心から満足した。戦況は呉に優勢で、呉は……呉王・扶差は越王・句践に恭順の意を示すべく膝を屈する寸前まで来ていた。 「王よ。呉王」 「范蠡か。何用だ」 「漸く予てからの計略を実行する時が参りました」 扶差は宰相の言葉に首を捻る。一体どんな計略だと言うのか。 「あれをご覧下さい」 そう言って范蠡は宰相執務室の隣室を扶差に示す。扶差は言われた通り隣室を覗き込み、息を呑んだ。 「どこからあのような美姫達を集めて参った」 「方々に手を尽くしました」 「うむ。あれだけの美姫達に我が子を産ませるか。いいだろう」 「恐れながら。王よ。あの美姫達は越王への献上品でございます」 慇懃に范蠡が扶差に忠告する。 「何っ? 我が愛妾では無いのか!」 何故、あのような美姫達を敵にくれてやる必要がある! と、扶差は怒りに囚われた。
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