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「王よ。尊きお方よ。あなた様が目の色を変える程の美姫達、ということは、憎き越王も目の色を変える、ということ。古来より美女の色香は国をも動かす」
「それは、そうだが」
「なればこそ、憎き越王に献上すれば、あの色香に迷い油断もする事でしょう。その時こそ、我が国が優勢に立つ時」
范蠡に諭され、扶差は今までの労苦を思い返す。越を滅ぼすは、呉の悲願。扶差は美姫達を惜しんだが、悲願を成す為には瑣末な事。一度は越に恭順の意を示して膝を屈し、その上で美姫達を献上し、頃合いを見計らって、越を滅ぼす。
范蠡の一計に扶差は頷いた。
そして、計略は范蠡の思う通りに運ばれる。越王・句践は献上された美姫達の色香に迷ったのである。
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