乗り続ける生涯の道

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 兵士達は自らを律する訓練を受けている、謂わば優秀で選りすぐりの者達だ。更に、あのお方を怒らせる事がどれだけ恐ろしいか、身に染みている。  それでも、娘を見ていれば邪な気持ちから不逞な行為を起こしたくなる程、娘は男を惑わせる美しさを放っていた。  三人が共謀して娘に襲いかかる、という企てを計らなかった事が娘にとっては、幸せな事だった。  もしかしたら、その考えが兵士達の頭には過ったかもしれないが、それ以上に、余計な事をして、あのお方に知られる事の方が恐ろしいだろう。  敵味方に容赦の無い意志の強さと、何をも怖れぬ豪胆さと、常に三歩先の未来を予見するかのような頭の回転の速さと知恵と、それを実行する俊敏さが備わった人物。  そんなあのお方を怒らせる程、兵士達は間抜けではなかった。
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