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『その様子だと信じていないようだな。しかし、神である私が言うのだ。信じよ、人の子よ』
神と自称し始めたが、どこをどう見ても人間の女の子である。
『……? どうしたジロジロ見て』
「いやぁ、神様には見えないっていうか。神様にしては可愛すぎるというか……」
なんとなくだが、ムッとした表情を浮かべたと思えば、なんとなく嬉しそうな表情を浮かべた気がした。気がしただけだが。
『そうだな……。神様であるという証拠になるかは分からないが、神様かもしれないと思うことを話してやろう』
「また、わけのわからないなことを言い始めるんじゃ」
そう言った俺であったが、少女の口からは意外にも驚かされる言葉が放たれた。
『まずは、汝の名前。刈谷 新也(かりや しんや)』
……俺の名前。なぜ、知っているのだろうか。
『そして、ここに来る前の記憶が曖昧。どうだ?』
何もかも見透かされているような、そう思わされる的確な事実を言い当てられた。
「どうしてその事を……」
『その記憶を曖昧にしたのは、他ならぬ私だからな』
さらっと沙も当然かのように言うが、記憶を弄るなど異常だ。そもそも可能なのか。
「どうしてそんなこと」
『それについては、教えられない。いや、教えたくないというべきか……』
教えたくない? どういうことなんだ。
『まぁ、必要だったからとしか言えない』
「……よく分からないよ。君は一体なんなんだ」
『言っただろう。神だと』
神様ってこんなんなのか? とりあえず、人間ではないかも知れないと思い始めた。
『さて、話を戻そうか。汝が死んだという事実についてだ』
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