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俺が死んだ。
信じがたい話ではある、信じたくもない。
ただの妄想であると片付けてしまいたい。
しかし、この神様らしい何かは真剣な眼差しで語り、そしてなによりも先程の記憶を弄ったという事実。
死んだ時の記憶が無いのもそのせいであるならば、辻褄があってしまう。
どうやっても俺が死んだという話は、信じたくないという己の心情だけでしか否定出来ず、否定することは俺の我儘に過ぎないのかもしれない。
「……分かった。話を戻してくれ」
考えて見れば、この場所はとても現世のものであるようには感じることが出来なかった。夢ならそれでいいが、本当に死んでしまっているのだとしたら、今この時は自分にとって重要だ。
真剣に、この神様と名乗る少女に向き合うべきなのだと心を入れ替える。
『そうか、では話させてもらう。くどいようだが、汝は死んだ。つまり、汝の世界には二度と戻ることが出来ないということだ』
「まぁ……もし、死んだなら当然だな」
話こそ重いが、やはり実感が湧かない故に冷静だった。
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