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会議室は一気に慌ただしくなっていた
「小野校長…今聞き間違いでしょうか? 確かビジネスだとか…。」
「西園寺先生…冗談はこれくらいにして、
「本気ですが? 1000万円あんたが支払う代わりに、俺は問題児のO組の生徒を卒業させる。」
「…その、西園寺先生? あなた、まだ教え子を持った事がないでしょう? あの生徒を纏める事が出来るだけの力量はお在りですか?」
「キャリアの問題なんて、あの生徒の前に何の役にも立たない。結果前任の先生は教壇を降りた。」
「偉そうに…教師が校長に暴言、強請などもっての他だ!」
「なら聞くが、あんたらにO組を纏める事が出来るか? 出来ないから自分から担任になるのを遣らずに、意見を求めるなどそれこそもっての他だと思いますがね?」
西園寺は一寸の狂いもなく、真っ直ぐを見詰めていた
「これは中々面白い先生です。確かにO組の子達の前にキャリアは通用しないかもしれませんね。西園寺先生、私は貴方に賛成です。」
西園寺に肩を持ったのは3年生を担当する宇城丈だった
教師歴は長く、ミカロ学園には20年も所属するベテランの教師だ
「宇城丈先生、気は確かですか? 校長に不当な額を請求するなんて…。」
「河原子先生、お金の事はともかく…O組を纏める事が出来る教師はこの男しかいません。私には分かります。西園寺先生がO組の生徒と卒業式に出席する姿がね。」
「…宇城丈先生、感謝します。校長先生? 結論は出ています。俺はあの荒くれ共を卒業させる自信がある。卒業式迄に1000万振り込んでくださいね?」
「ちょ、西園寺先生!」
校長の声などお構い無しに、会議室を颯爽と退出する西園寺
「校長先生、あの男の事は気にしない方が良い! 卒業させるなんて言ってるが、逃げ口論です。」
宇城丈がそれを真っ向から否定した
「河原子先生、貴方は何一つ分かってない。教師としての年数は持ってるのに、西園寺先生の持つ本当の意味での教師は、貴方にはどれひとつない。あの男を見倣うべきですね。」
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