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西園寺を見倣う?
三年担任の宇城丈は、彼等に教師としての有方を教えようとしていた
が、誰もその話を聞かず、会議室を離れてしまった
「やれやれ、一人たり私の話を聞こうともしない。」
「まぁ、諸先生方は西園寺先生の教育方針には驚いていましたから。」
「校長先生、1000万はちょっと痛いけど…彼に任せても大丈夫な気はしないでも在りませんけどね?」
「仕方がない。我々にとっては願ってもないチャンスです。O組を更正出来るチャンス…。」
お茶を啜りながら、ホッとため息を吐く宇城丈
「さて、校長先生…私もこれで失礼します。明日が楽しみですよ。」
明日…
西園寺の初陣の日を飾る晴れ舞台だ
その頃西園寺は例のO組の教室を訪ねた
今時学校では珍しい開閉式のドアだった
以前は物置として使われていた部屋を改築し、O組の教室になったのだ
「ふっ、O組の連中は教師にとっては物置も同然という事だろうな。」
ノブを回し、中に入ってみる
ギィィィー…乾いた音を立て、光が差し込んだ
普段は荷物で溢れ返っていた物置小屋も、今はカーテン越しに光が漏れている
此処には13人のならず者が一日中を過ごしている
13人分の机と椅子…よく見ると、教壇が存在しなかった
「俺の居場所はないってか?」
職員室に向かい、教卓を取りに行く
「えっ? 教卓ですか?」
「教卓がなけりゃ授業も出来ませんぜ? なぜO組の教室にはないんですかい?」
「…O組は全員授業なしだよ。授業だけじゃない…修学旅行も体育祭、文化祭も理事長が決定されているから、禁じられている。」
「…一体何があったんです? 授業もない教室に生徒も教師も必要ないだろう!」
「ふむ…話せば長くなるが、あくまでも噂なのだが、聞いてくれるかね?」
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