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「うーん……ぬるぬる……蜂蜜、油……そうか!」
不死者は何か思いついたようで、ざぶんと音を立てて立ち上がり、水滴で床が濡れるのにも構わず、自身が全裸なのにも構わず、風呂場から出て行ってしまった。
来客があったらどうするのだろう。
人里から離れており、かつ、近辺の村で名高い化物ということであるから人が滅多に来るはずがないのだけれど。
不死者は着色された液体が緩く波打つ瓶を持って表れた。
「おまたせ」
笑顔で。
油は粘度が低く、塗りつけられる量はわずかではあるものの、その分滑りやすさは折り紙付きだ。
容易く指の侵略を許してしまう。
後を考えると気が重い。
くにくにと中で指が蠢き、それに乗じてわずかずつであるが、指以外のものが中に入り込んでくる感覚さえしてくる。
「ふ……ぅん……う……」
普段出さないような声が漏れてくる。
「うーん。なかなか見つからないなあ……触覚がないから、辛いな……」
「……辛いなら、止めればいいじゃないか。好奇心は猫を殺すっていうくらいだし」
「猫は死ぬかもしれないけど、私は死なないし死ねないよ。だから好奇心の赴くままやりきるよ?」
「……チッ」
「舌打ちって君ねぇ……」
不意に力が込められたのか、
「ひぁっ……!」
体に強い電流を流されたかのように体が跳ねた。
「ふん?当たり引いちゃった感じ?」
くいくいと指が中をまさぐる。かするだけでひくひくと体が震える。
「ふむふむ……」
指の動きが止まったかと思ったら、何やら背中に刺さる感覚。
頭を出来うる限り後ろを向けると、横目で不死者と目が合った。
「やっぱりこっち向いてくれない?」
「……別に、やってあげなくもないけど、何で」
「淋しいから」
言葉に詰まる。
「っ。わかったよ!いい加減支えるものが欲しかったところだし!」
火照る頬は見せたくない。
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