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その時、新幹線がガクンと減速するのを足下に感じた。
それから少し遅れて、停車を知らせる車内放送が自動音声で流れ、車掌の在来線接続の案内放送が続いた。
「っ、あ、失礼しますっ!!」
そう言い捨て、はやる心臓を押さえてその場を離れようとした瞬間、右手のシャツを摘まれた。
「連絡、待っていますね…」
はにかんだ笑顔に心を鷲掴みにされる。
這々の態でその車両を後にした。
まだ、ドキドキしている。
けど…また会えた。
(クリスマスに乗務するのも悪くないな…)
偶然の再会に緩む口元を引き締めた。
連日、連続の乗務に肉体疲労もピークにきていたが、俺の足取りは軽かった。
<了>
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