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クリスマス当日も俺は普通に乗務していた。
昨日のクリスマスイヴは散々だった。
急遽欠勤が出たため、穴埋めのためそのまま指定された新幹線に乗り込んだ。
クリスマスイヴのせいか、車内のお客様に散々冷やかされ、からかわれてきた。
(つーか、クリスマスが平日ならあんま関係ねぇよな…)
デッキの窓から夜の帳が下りた景色を眺めながらため息をついた。
時折、民家の家々にクリスマスの電飾がチラホラと見える。
一仕事終えて、車内で休憩を取っていた。
(今日、そういや木曜日だったな…)
柳瀬さんに会わなくなって随分経つ。
(きっと俺のことなんか忘れてるんだろうな…)
そんなことを考えていたら、チクリと胸が傷んだ。
東京行きの最終の上りの新幹線の車両は通勤客が途中下車するたびに、ガラガラになっていく。
あと1時間もしないうちに終点東京に到着する。
最後の販売にと、車内を回っていたその時だった。
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