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いつも通り事務所で来月のシフトを確認し、携帯のスケジュールアプリに入力していく。
12月の表記に、繁忙期を迎えるのか…と思わず顔をしかめた。
早朝コース、最終コース、臨時列車に泊まりコースとバラエティーに富んだスケジュールがみっちりと詰まっていた。
路線と、車両と入線時間などをチェックしていく。
(あれ…?)
木曜日のシフトを二度見する。
(俺、外された?)
いつものコースに名前がないのでその前後をチェックする。
(それともこの路線うちの列車営業部から外された…?)
主になりそうなくらい、木曜日の人だねと柳瀬さんに言われたことを頭の片隅でボンヤリと反芻する。
思わずため息をもらした。
そこにいた社員に尋ねるとようやく合点がいった。
「ダイヤ…改正?」
すっかり忘れていた俺は思わず面食らった。
「そう。来月初めにダイヤ改正するのは知ってたよね?どうやらその列車無くなったみたいね。」
「ええっ!?」
思わず大きな声を出してしまった。
「す、みません…」
珍しく挙動不振な俺に周囲の視線が痛い。
「橋本君あのコース好きだったもんねぇ。」
「え?いや、その、はい…各駅ののんびりした雰囲気が好きだったので…」
(好き………好き !?)
思わず自分の口から出た言葉に、心の中でくすぶっていた感情の正体に気づいてしまった。
この気持ちに名前をつけるとしたら…
考えると赤面してしまう。
思わず口元を押さえて俯いた。
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