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金髪の男は聞こえているのかいないのか、その質問は無視して男らの顔をじっと見た。
「てめ、質問にー」
「10万ダガット」
そして一人の男を指差して、そう呟いた。
「…は?」
「お前は確か…15万、その隣は10万、10万、10万、10万、5万…」
つい間の抜けた声を漏らした男達に、順番に値をつけていく。ポカンとしていた男達も、男の次の言葉にはキレた。
「…安いな」
「ふ、ふざけんなよぉ!」
もとより気の短い連中だ。誰かが叫び、金髪の男目掛けて発砲した。狭い室内、下手くそでも当たる距離だ。轟音と共に放たれた銃弾は、真っ直ぐ男の心臓へと向かう。誰もが命中すると、そう思った。
が。
男は上半身を大きく反らし、すんでのところで弾をかわした。そのまま空中で脚を振り上げ、近くにいた男に一発蹴りを入れる。そして逆立ち、身体を回転させ周りにいた男三人を文字通り蹴散らした。ここまで僅か三秒。まさに神業であった。
男達は何が起きたのかすぐには理解できなかったが、床に倒れた仲間の姿を見て、引きつった顔で後退した。
「これで45万ダガットか」
金髪の男は手についた埃を払いながら言った。
「てめぇ!」
残された三人のうち、二人が銃を撃った。それらをことごとくかわし、みぞおちにそれぞれ一発拳を叩き込む。二人は「うっ」だか「ぐっ」だかそんな感じのうめき声をあげて、あっさりと倒れ伏せた。最後の一人はすっかり戦意喪失したように、床に膝をついた。そして、わななく唇でこう言った。
「あ、あんたドンの追っ手じゃねぇな!?いったい、何者だ…!」
「俺?俺はー」
金髪の男は怯える男に近づいて、その首に軽く手刀を入れて気絶させた。
「バウンティハンターさ」
金髪の男ーレイは、不敵に笑ってみせたのだった。
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