Case1.

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* 「…『みせたのだった』ってレイお前、期日ギリギリじゃねぇか」 呆れたように言うのは、マイク・シモンズ。デカい体と浅黒い肌に、スキンヘッド…と、どこから見てもいかついが、その中身は面倒見の良い好漢だ。 「んだよ、捕まえたんだからいーだろ」 カウンターで受け取った金を数えながら、レイは言った。 レイの職業はバウンティハンター、いわゆる賞金稼ぎだ。警察が追っている指名手配犯や、保釈金を踏み倒した逃亡者などを捕まえ、その代償として報酬を得る。犯罪者は大まかにランク分けされており、それによって金額も決められている。 そしてここは取引交換所。警察などの公的機関とハンターとの間を取り持つ役割を担っている民間業者だ。仕事の紹介をはじめ、犯罪者の引き渡しや情報提供、賞金との交換などが主な仕事だ。そのためハンター達の社交場にもなっている。 「これで賠償金を返済できるわ」 「ああ、例の300万ダガットか」 レイは眉をひそめた。思い出したくもない。 そう、あれは先月のこと。知り合いの経営する保釈保証会社からの依頼で犯人を追っている時に、街の一部(ああ、ほんの一部だ)を破壊し、賠償金を請求された。犯人は確保できたが、報酬どころの話ではない。賠償金の額は300万。基本“その日暮らし”をしているレイが持ち合わせているはずがなかった。いったんは依頼元に立て替えてもらったものの、このひと月その返済に追われていた。やっとそれから解放される。 「じゃあ、もう取り立ての電話もかかってこないわけだな」 マイクが心底ホッとしたように言った 。レイはそれに頷く。 「ああ、ビアンカからのラブコールがなくなるのだけが残念だ」 「…相変わらずめでたいな、お前は」 マイクの冷ややかな視線にも、素知らぬ顔だ。しかし、小言はまだ続く。 「だいたいその賠償金も一人で突っ走ったのが原因だろう。お前も誰かと組んだらどうだ?」 バウンティハンターは自営業に含まれるが、ハンター同士でギルドを作ることはできる。仲間とまではいかなくとも、協定を結ぶなど、その形は様々だ。そんな中、レイはまるっきりのフリーだった。 「なんなら紹介するぞ。お前と組みたいって奴は山ほどいるんだからな」 「いーの。俺は一人で仕事やることに誇り持ってんの。それに、俺に見合うヤツなんざいねぇさ」 ナルシスト全開な言い分にも、マイクはたいして驚かない。
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