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「……っ、おっ、大山(オオヤマ)くんっ――!」
始業開始五分前、自分のデスクで、だけど会社のパソコンで。
アワアワと、手をばってんにして画面を隠そうとするも。
「……見えてます、先輩。見てから声かけたんで」
「あ……ハハ」
申し訳なさそうな瞳で眉を下げるこの少年……もとい、青年は。
「そんな……えっちなぺージ開いて、どうしたんですか?」
ペット、……じゃなくて、後輩です。ちょっと奥手の。
「あのっ、ね……これは」
「『バレンタインは甘いチョコと一緒に甘い私を』……先輩……」
「わわっ、大山くん声っ、出さないでっ」
慌てても身を捩っても、ばってんからはみ出た画面には。
「Tバック、紐、スケルトン……」
「や、あのっ、」
そこはシースルーって言って、って!
見ちゃ駄目っ、まだ未成年……じゃなかった、純情な大山くんには、刺激が!
「凄いですね、バレンタインはいつも受け身な女性が主体で動ける唯一のイベントですもんね、感心します」
ちょこんと隣のデスクに鞄を下ろした大山くん、キキッて鳴いた椅子のタイヤが、静かで上品な重みを受けて鳴き止んだ。
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