可愛いオオカミ

4/10
前へ
/10ページ
次へ
決して大山くんが人並み以下に小さい訳じゃない。 けれどその身体つきは細身で華奢で透き通るような肌を持ち、性格は穏和で控え目、スッと整った顔立ちは儚げで中性的。 私の何倍も……女性らしい――。 「綺麗ですね、フリルがいっぱい。あ、これなんて可愛い」 まるで自分が身につけるかのように、キラキラした眼差しがパソコン画像を覗き込む。 「いいなぁ、可愛い」 私がこっそりと開いていた“あだるてぃ”な夜の下着が満載のページに釘付けの大山くん。 「あの、大山くん?」 「わぁ先輩、これとか似合いそうですね。あ、僕はこっちの方が好きかも、」 「え」 その発言さえもが妖しく聞こえてしまう。 “好きかも”は相手が身につける事に対してなのか、それとも……。 「でも先輩、これバレンタイン限定販売って」 「そうね」 だから見てたのよ。 「先輩、彼氏」 「居ないわ、まだ」 「……」 パチパチと、つぶらな瞳がキョトンとか、可愛い過ぎるんですけど。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加