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決して大山くんが人並み以下に小さい訳じゃない。
けれどその身体つきは細身で華奢で透き通るような肌を持ち、性格は穏和で控え目、スッと整った顔立ちは儚げで中性的。
私の何倍も……女性らしい――。
「綺麗ですね、フリルがいっぱい。あ、これなんて可愛い」
まるで自分が身につけるかのように、キラキラした眼差しがパソコン画像を覗き込む。
「いいなぁ、可愛い」
私がこっそりと開いていた“あだるてぃ”な夜の下着が満載のページに釘付けの大山くん。
「あの、大山くん?」
「わぁ先輩、これとか似合いそうですね。あ、僕はこっちの方が好きかも、」
「え」
その発言さえもが妖しく聞こえてしまう。
“好きかも”は相手が身につける事に対してなのか、それとも……。
「でも先輩、これバレンタイン限定販売って」
「そうね」
だから見てたのよ。
「先輩、彼氏」
「居ないわ、まだ」
「……」
パチパチと、つぶらな瞳がキョトンとか、可愛い過ぎるんですけど。
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