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「えと、先輩コレ、いつ着る――」
「明日!……のバレンタインには、着てみせます」
頑張ります、的な宣言。
そんな私にパチパチパチと、さっきよりも激しい瞬きが。
あぁ、睫毛まで長いのね、風が来るわ、なんて。
某下着メーカーに勤める私。
毎日レースや花柄刺繍の可愛い下着に囲まれ、さっきのホームページだって、部署は違うけど実は自社の打ち出したバレンタイン企画。
ちょっと大人なセクシー路線で、こんなのを着ければさぞかし甘い一夜を過ごせるのだろうと、脳内妄想は完璧。
「急ですね?」
「そんなことないわよ」
ずっと前からちゃんと焦ってたから。
焦って焦って、ギリギリになってもまだ、成約にこぎつけれてないってだけで。
「先輩」
「大丈夫、任せて」
今回の私は意気込みが違う、心配げな大山くんに力強く、にまっ、て笑ってヤル気を伝えた。
「いや、そうじゃ……う~ん」
何やら考え込む大山くんを横に、私は闘志に燃えていた。
あ、可愛く首を傾げる大山くんには萌えてたけど。
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