可愛いオオカミ

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とは言ったもの、アテなんてある筈もなく。 ちょっと後輩に対してつかない引っ込みに、まだ間に合うんだと、自分に言い聞かせるみたいにムキになっただけ。 実際は。 パソコンの陰からチラリとフロアを見渡しても、いまいちピンと来る人物が探せない。 いくら何でもいいと捨て身になっても、せめて人間であって欲しい。 タイプとまでは拘らないから。 カタカタと指を鳴らしながら、キョロキョロと黒目を動かし捜索する。 おーい、誰か手頃な男子はいないかーい、……っとと。 いつの間にかぐるんと首まで回してたらしい私、隣で微笑む大山くんと、バチンて静電気みたいな視線がぶつかった。 「……」 ニコッて。 それはそれは愛らしい、動物園なら絶対“ふれあいコーナー”に居るだろう小動物みたいなソレ。 ニコニコッてされたから、一応フハッ、フハハッ……って可愛めに返しといた。 ……。 うん、ナイわ。 何でもいいけど、これだけは。 弱っちいのだけはいただけない。 華奢な大山くんなんて、たぶんきっと間違いなく、私がポンて押したら机三個分は遠くに行くね。 うん、無理ね。
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