紅一点

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 ……けれど、それで、いい。  私達はそうなるかもしれない、と思っていても尚、ピンクを推したのだから。  ピンクは、スーツアクターではなく、きちんと顔を出す女優になりたかった。私達はそれを知っていた。……だから。  あの時、私達は黙っていた。  本家ピンクであるアイドルがジャンプをするシーンで、その前にピンクが立ち位置を微妙に変えた事を。運動神経があまり良くない本家ピンクが、その微妙な立ち位置に気付かず、結果、着地先がズレて骨折をしたのだ。  私達4人はそれに気付いていた。だが、黙っていた。
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