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その河村の顔を立ててやりたかった。同期会の方は単純に、何度か断っていたら、付き合いが悪い、と無理やり出席させられた。日にちが近いのは、偶然だから仕方がない。それでも出費は辛い。
同期と別れて自宅への帰路。俺は足を止めて柄にも無く月なんか見上げてしまった。
「ホント、どうすっかなぁ」
ポツリと口から零れた言葉に恥ずかしくなって、慌てて周囲を見回した時、路地の片隅にある、それを見つけた。
「なんだ、あれ? あんな古くさそうなヤツ有ったっけ?」
それとも、最近、流れて来たのかもしれない。いくら路地の片隅なんて、目立たない場所でも、ずっと通勤で通って来た道なのだから。
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