天空の家

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 二人とも果ててから、彼はわたしが重たくないようにと、身を翻しからベッドに倒れた。  彼の上に重なりながら息を整える……  わたしの呼吸がようやく”ただ息が上がっている人”くらいに落ち着くころには、彼のものは再膨張していた。  耳元で動くよとささやかれ、彼はわたしを抱きしめたまま小刻みに揺れ始めた。  時にゆっくりになったかと思うとまた素早き動き、止まったかと思うと再開する。その繰り返しはまるで麻薬のようで、わたしはその中毒になっていった。  そして今度はわたしの腰を少しばかり持ち上げたかと思うと、下から突き上げてきた。わたしは肘を曲げて、上半身を少し浮かせた。  唇が離れると、わたしの口からは喘ぎ声が漏れる。喘ぎ声を止めるには、口を塞いでもらうしかなくなっている。  彼は何十回とわたしを突き上げ、わたしはがくがくに震えた。  一度、彼はわたしに大丈夫かと確認した。  わたしは頷いたが、またすぐ上り詰めるのが怖くなって、自分の身を起こし彼の上にぺたんと座った。  ベッドに対して垂直になった方が呼吸が整うと思ったから。それは事実だったけど、同時に彼のものがより深くわたしのなかにめり込んだ。  それは鋼鉄みたいに、人間の身体の一部じゃないみたいに硬い。にも関わらず、わたしの熱い体内に溶け込んでいる。どこからどこまでが一人の人間の身体かわからないほど。  一ミリも隔たりがない実感が湧いてきて幸せに満たされた。
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