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「やばい、緊張してきた……」
「大丈夫? まだ練習よ」
「これ、石村がやっても良かったんじゃないか」
「なに言ってるの、学年トップは神田くんでしょ」
「五点も変わらないだろ、おれには向かないよ……」
ゼミ長こと神田正くんは、卒業生代表として答辞を読まなくてはいけない。今は式典前の予行練習で他の生徒はいないが、それでもこっちが見ていて気の毒なほど緊張している。
神田くんは賢いし、思いやりあるし、リーダーシップもあるんだけど、大人数の前で発表というのが大の苦手だ。ゼミで行われる内輪のプレゼンでさえ声がうわずったりしている。
彼が答辞を読んだら、今度は最優秀ゼミナールの表彰をもらうためにふたりで壇上に上がる。果たして神田くんはそこまで持つかしら……
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