序章

行動パターン

　新規単位がちゃんと取れそうな授業が定まったら、あとはゼミだけ。

　今学期最初のゼミでは、教室をくぐるとみんな履修登録の確認をしあっていた。まっさきにって具合に。

「いいな?フル単組は。おれなんか今期12コマ入ってるんだけど」

　一人が菓子パンをかじりながら自分の境遇を冗談半分に嘆くと、周囲に自業自得だと笑われていた。ゼミのメンバーはいい子たちが多い。

　男子が8人、女子が4人の12人。 どんなグループにもひとりはいるおちゃらけた子に、それに突っ込みをいれる子。積極的に発言する子に、滅多に手をあげない子。

　わたし以外の女子3人は他の講義もいっしょに受けているらしく、仲良くお弁当食べたり恋バナが好きな子たち。ハムスターみたいでかわいい。

　わたしは休憩中の話しの輪にはほとんど加わらないかな。いつも同じように片眉さげて見守ってる男の子がゼミ長で、わたしが副ゼミ長。シビアなゼミ試をくぐり抜けてきたわりに、集まったのは朗らかなメンバーだった。