出会い

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「…確かに僕の授業は生徒が多い。講義で出欠は取らないし、テストを白紙で出すなどとよほどをしない限り単位を与えるから。だけどきみは現在までの講義に毎回に出席しているし、こうして提出不要の課題もこなしている。楽に単位が取りたいわけではないのに履修しているから、不思議に思ったんだ」 「…」  先ほどと同様に、わたしは口をつぐんでしまった。  この人は…すごく珍しいことに、そしてすっごくおもしろいことに、自分の講義の人気の理由が、自分のルックスにあることに気が付いていないんだ。簡単に単位が取れるからだと勘違いしている(もしそれで有名だとしたら、あかりやゼミの女の子たちは履修していたはずだ)。  そういえば今までの話しを総合しても、彼は普通ではないみたい。ちょっと天才肌みたいな話し方をするし。  わたしは会話が噛み合っていない理由を見つけたけど、先生はまだ不思議そうにしていたから、 「ふふふ、なんでもないです。先生の講義が有名だと言及したのは、説明がわかりやすいという意味です」  そう伝えておいた。 「そうか」  彼の誤解は、おもしろいから解かないでおいた。
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