観察日誌

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・・・  コーヒーを堪能して、談笑して、補講してもらった時間はわずかだったな。  帰り道は”水樹先生の観察日誌”に何を書こうか考えていた。  ”女性関係に鈍い””自己顕示欲が低い”辺りは必須ワードよね。あと”優しい”が入る。思いやりがあるというか、気遣いができるというか。  水樹先生は理系男子の典型だから、ちょっと違和感があった。  あんまり左脳右脳、文系理系っていう括りは好きじゃないし、左脳の使用頻度からイコール優しくないというのも偏見かもしれないけど、それでも論理的な証明を好む人が”感情”のような抽象的なことを好まないのは筋が通っている気がしていた。  ”あぁーこれだから理系男子は…無神経であったまくる”という、去年のあかりの交際相手に対する愚痴でも刷り込まれたからかしら。  でも事実として水樹先生は優しいから、これらは偏見だったみたい?。わたしはこれから彼の研究室に通うのが楽しみになった。
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