百色の彼女

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 外は雨。  今日は相対湿度が50%だと天気予報で言っていた。温度と水蒸気のアンバランのせいで、窓には結露がついている。  いま僕のデスクの隣りには、自分のMacBook Airを持参した石村くんが座っている。 「その後は改行して括弧を閉じる。これでループの完成だ」 「改行して、カッコを閉じる…」  プログラミングに関してはまったく初心者だが、飲み込みは早かった。 「できた…できた!」  Enterを押すと100色使ったグラデーションの百角形がくるくる回り出し、10秒おきに新しい百角形が増えていく。初歩的な入力で出来るが完成が鮮やかなため、彼女が喜ぶと思った。  こうして授業の補佐的なことを教えたりもするが、互いに別のことをしていることも多い。なにもなくても心地いい時間が流れる。 ・・・
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