春:初回講義

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「二日酔いー」  約束の12時から20分経ったころ、淀んだ顔のあかりが駅の方からふらふらとやってきて、ほのぼのとした春の雰囲気が一気に壊れた。 「なにがおかしいのよ」  わたしが飽きれ半分に彼女を見ていたのがバレたみたい。来るなり正面に座ってテーブルにつっぷせた彼女が顔を上げて抗議した。 「爽やかな一年生たちとあまりに対照的だから」  肩をすくめて通りを指差した。あかりは後ろを一瞥して、あぁと納得した声を出した。 「わたしたちも三年前はあんなに初々しかったのかな」 「いや? あんたは入学時からいまみたく老けてたけど?」 「せめて大人っぽいって言ってよね」  横山あかりは元気たっぷりで天真爛漫。  誰であろうと”一回話したら友だち”みたく友人の輪が広がっていく。学年で一番顔が知られている子のうちの一人だろう(人付き合いも良く、さらに豪快なまでに飲むから、飲み会の翌日は常にいまみたいだけど)。
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