バターミルククッキー

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「いらっしゃい…あ、ユリちゃん! 久しぶりだね」 「そういえば、」  春以来かもしれない。ここは学校の裏だから登校した日じゃないと訪れないし、特に最近は水樹先生のところでコーヒーを貰っていたから。 「あら、それって男でしょ。新カレができて忙しいとか」  カウンターに誰かいると思ったらまきちゃんだった。 「まきちゃんたら、なんでも男性の話しに繋げちゃうんだから。それにしてもお久しぶりね」 「げんきしてた??」  わたしは彼女のパステルカラーのバックが置いてある隣りの席に座った。  牧宏美。通称まきちゃんは、元気がよくて非常に楽しい女性…男性か。まぁ”そういう”人。名前は本名だけど漢字は変えたらしい。  まきちゃんは裏原宿に喫茶店を持つ、髭もじゃマスターのオーナー仲間。マスターのお店はコーヒー豆自体は扱っていないため、定期的にまきちゃんの店から仕入れている。そして豆を届ける度に彼女は世間話をして行く。  わたしが二年生のときにここでたまたま会ったのがきっかけで、わたしは彼女の店にも行くようになった。そっち系の人って、神経質だったり気難しいところがあるっていうけど、まきちゃんはただ面白いだけ。おせっかいではあるけど。 「で、どうなの、新しい男なの?」 「どうかしら…それよりまきちゃんの話し聞かせてよ。最近かわいい彼はいないの?」 「この子ったら、話しそらすの上手なんだから。でもいいわ、教えてあげる。最近のヒットボーイはね…」
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