14歳の少女

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・・・  わたしは他にも根掘り葉掘り構造についてたずねた。詳しい仕組みはわたしに理解できるものではなかったけれど、彼が作り上げたものを少しでも知りたかった。  そして最後に、ちょっとだけ気になっていたことを聞いた。 「彼女の名前は……先生が考えたの?」 「あぁ。この手の犯罪は海外の方がまだ圧倒的に多いから、向こうで使われることを意識してわかりやすいように英名にした」  うぬぼれてもいいかな。 「きみの名前……”百合”の英名を、使わせてもらった」  わたしは笑顔になった。  外からはバラードが聞える。先ほどのバンドだろう。学際も終盤かしら。 「さっきはいきなり引っ張ってきて悪かったな……取り込み中だったか?」 「取り込んでたらどうします?」 「……邪魔して正解だったと思う」  ふふふ 「全く取り込んでなかったわ、むしろ救世主」 「そうか」先生はちょっと安心したように息を漏らした。  この人は、不思議な人。こんなに画期的なものを作れるのに、わたしが知らない男の子と話しているという些細なことに焼いてくれるのね。 「お腹空かないか」 「実はぺこぺこ」 「何が食べたい?」 「学祭のたこ焼き以外」  先生は「なんのことだ?」と聞き返した。だけどその意味を聞くより大事なことを思い出したようだった。 「そうだ。忘れないうちに、連絡先を教えてくれないか」  突拍子も無さはおあいこね。
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