電話越しのキーマカレー

4/5
前へ
/121ページ
次へ
 お米は互いに出掛ける前に炊いてある。先生に手を洗ってから、ざっと道具類も洗うように伝えた(もしかしたら購入後はじめて使われるものかもしれないし)。 「こだわることはいくらでも出来るけど、基本の手順はシンプルよ? フライパンに油をひいて、お肉とお野菜を炒めて、お水とルーを入れて煮込む。これで完成」 「聞くと簡単そうだけど……」  先生のキッチンってどんな風なのかしら。きっとかなりハイテクなクッキングヒーターやオーブンは全く使われていなくて、コーヒーメーカーと電子レンジだけが活躍されているのだろう。 「やっても簡単よ。まずはお茄子へたのを切って、2センチくらいの輪切りに。トマトもへたを取って、適当な大きさに切ってください」 「適当な……大きさ?」 「あぁ、そうね……サラダに入っているのくらいに。どうせ溶けちゃうから均等じゃなくていいわよ。丸々入れて、木べらでくずしてもいいくらい」  水樹先生はわかったと言ったけれど、きっと綺麗に八等分しているだろうな。わたしも髪をまとめて準備に取りかかった。そして携帯からマイク付きイヤホンを外し、スピーカーにして立てかけた。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

173人が本棚に入れています
本棚に追加