天空の家

7/12
前へ
/121ページ
次へ
 彼の動きは寸分も止まらない。口内を絡めとる舌と唇も、身体を弄る手も。  全身に触れられ、くまなく愛撫され、男性らしいしっかりした手がわたしの局部にたどり着いたとき、わたしはそこは果てしなく濡れていた。  彼の中指がわたしの中に入ってきたとき、タイピングをしているときの彼を思い出した。あの長くて綺麗な指が自分の中に入っているかと思うと、逸る気持ちを抑えられない。彼は器用に動かしてから、薬指も加えた。指を動かしながらも舌の動きを止めない。 「もう……っ、」  はやく入って来て欲しかった。 「だけど、まだ……」  この一年開くことのなかった局部はいくら濡れていても狭いのだろう。でも痛くても構わない。それよりもなによりもはやく彼が欲しい。 「我慢ができないの、先生……」  わたしは素直にそう告げた。 「っ、誠だ……僕の名は、」  そう言われて胸がドキッとた。  誠……  彼のいまの台詞は、一生忘れられないだろう。勝手に心に刻まれてしまった。  彼はわたしの両脚を曲げ、目に余るほど大きいものを入り口に充てがった。そしてわたしの頭の横に右手を置いて、左でもう一度わたしの頬を撫でた。  ”入れるよ”と言われて彼がわたしに入った瞬間、彼と同時に呻き声を上げた。  しばらくなにも言えなかった。  先ほど指先に感じた電撃が、身体中を駆け巡る。  すべてが満たされて完璧だった。  砂漠を歩き続けて見つけたオアシスだって、わたしのいまの歓びには負けるかもしれない。  そして彼が自分も相当余裕がなさそうなのに”大丈夫か”と聞いてくれるから……頭を撫でながら優しくしてくれるから、だからわたしは泣きそうになった。  わたしは言葉が声にならなかったから、二回頷いて彼の問いに答えた。彼の髪の毛をかけあげ、腕を首に回した。  彼が動き出す。その動きは最初はゆっくりとした抜き差しだったけれど、スピードは徐々に速まった。大きさも質量のある彼のものが、わたしのうずいていた奥を何回も何回も突く。  部屋中に吐息と喘ぎが乱れ響いた。壊れたように互いの名前を呼び、舌を絡ませて求め合った。彼の身体がわたしの最も敏感な部分をかすめたとき、一度目の絶頂に達した。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加