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そんなループが繰り返される毎日。
あたしは、本を読むことに熱中し始めた。
図書室には、休み時間ほぼ毎回お邪魔した。
やから、司書の先生とも必然的に仲良くなった。
その日も、あたしは本を借りて家に帰った。
「…ただいま」
「おかえり」
あたしが帰って家で交わす言葉は、これだけ。
部屋に入って着替える。
着替える度、目に付く肌。
所々、おかしい色。
ーーあれ、肌ってこんな青とか、
赤紫になるっけ
ーー大丈夫、大丈夫。
ーー痛くなんてない。
ーーあたしは、ただの人形。
ーー痛いとか、辛いとか
…関係ない。
午後7時
夕食のため、皆がリビングに集まる。
ただあたしは、何も言わない。
何を言えばえぇんか分からん。
黙々と食べて
「ごちそうさまでした」
立ち上がった瞬間ーー
「おめぇ、いい加減にせぇよ。
何も言うことはねぇんか。
おめぇが居ったら、飯が不味いわ!」
怒鳴る男の声。
机を叩く音。
次にくるのは…
パンッッ!!
男の手が、あたしの顔を叩く音。
顔を殴られ、おなかを蹴られ…
ーー大丈夫。
ーー痛くない。
ーー人形やから、平気。
殴って気が済むと、あたしは洗い物をしようと立ち上がる。
「そんなことせんでえぇわ。さっさとどっか行け!うぜえ」
男は…あたしの今の父は、顔も見たくないと言った。
次の日
あたしは相変わらず図書室に居た。
「莉菜ちゃん、本当によく読むね~
本、好き?」
「えぇ、まあ。先生、何かオススメの奴ない?」
「え~先生は…何だろ?
好きなのありすぎて迷うな~」
「あはははっ」
「あ、莉菜ちゃんちょっと手伝ってくれる?
本棚拭くから雑巾濡らしてほしいんだけど…」
「OKです。少し待って下さい」
袖を捲る。んで、雑巾濡らす。
好きな本のためなら、冷たい水も平気やから不思議や(笑)
そうして鼻歌混じりに雑巾濡らしとると、不意に
「…莉菜ちゃん?これ…どうしたの?」
いつの間にやら隣に来ていた先生が
…あたしの腕の、色が変わった所をじっと見ていた。
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