1人が本棚に入れています
本棚に追加
ホンマはその日に児童相談所に行くことになっとったけど、次の日にしてもろうた。
あたしには、年の離れた妹、弟がおる。
今週は父が夜勤やけ、夜は母と、妹達だけ。
やから、今日は早よ帰って母の手伝いと、妹達と少し遊ぼう思う。
「…ただいま」
「おかえり」
…いつもは、これでおしまい。
やけど、今日ぐらいは話そうかな…
寝る前、明日からのことを考えて気になっとったコトを聞いてみた。
「お母さん、やっぱ小さい子2人を1人でみるって大変?
すると母は、少し驚いた顔をした。
それから、妹達の方に目を向けた。
「…まあ、大変だけど可愛いから平気よ」
「そっか。良かった。」
「何が?」
「んーん。何でもない。」
明日から少し、帰って来れそうに無いなんて、言えんからね。
次の日、あたしは家を出る前に妹達を抱っこした。
「行って来ます。」
どうか、あたしの代わりになりませんように…。
普段通りの学校。
学校にも、暫く来れんなぁ。
周りの子たちには、いつも通りの学校。
あたしとしては、暫く通わん学校。
10時25分。
とうとう、学校も出発する時間になった。
「…莉菜ちゃん、ごめんね…
本当に、気付けなくて…」
司書の先生は泣きっぱなしやった。
「先生のせいやないですよ。
あたしが、隠しとったから。
帰って来たら先生のオススメの本、教えて下さいね?」
最後の最後まで、嘘の笑顔を突き通す。
児童用玄関を出て、校舎を見上げてみる。
サヨナラ。2週間後には多分帰れるらしいけど…
詳しい事は分からんらしい。
小学6年生の2月5日、あたしは学校を発った。
最初のコメントを投稿しよう!