はじまり

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ホンマはその日に児童相談所に行くことになっとったけど、次の日にしてもろうた。 あたしには、年の離れた妹、弟がおる。 今週は父が夜勤やけ、夜は母と、妹達だけ。 やから、今日は早よ帰って母の手伝いと、妹達と少し遊ぼう思う。 「…ただいま」 「おかえり」 …いつもは、これでおしまい。 やけど、今日ぐらいは話そうかな… 寝る前、明日からのことを考えて気になっとったコトを聞いてみた。 「お母さん、やっぱ小さい子2人を1人でみるって大変? すると母は、少し驚いた顔をした。 それから、妹達の方に目を向けた。 「…まあ、大変だけど可愛いから平気よ」 「そっか。良かった。」 「何が?」 「んーん。何でもない。」 明日から少し、帰って来れそうに無いなんて、言えんからね。 次の日、あたしは家を出る前に妹達を抱っこした。 「行って来ます。」 どうか、あたしの代わりになりませんように…。 普段通りの学校。 学校にも、暫く来れんなぁ。 周りの子たちには、いつも通りの学校。 あたしとしては、暫く通わん学校。 10時25分。 とうとう、学校も出発する時間になった。 「…莉菜ちゃん、ごめんね…  本当に、気付けなくて…」 司書の先生は泣きっぱなしやった。 「先生のせいやないですよ。  あたしが、隠しとったから。  帰って来たら先生のオススメの本、教えて下さいね?」 最後の最後まで、嘘の笑顔を突き通す。 児童用玄関を出て、校舎を見上げてみる。 サヨナラ。2週間後には多分帰れるらしいけど… 詳しい事は分からんらしい。 小学6年生の2月5日、あたしは学校を発った。
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